ルールは3行で終わる
- 盤面全体を長方形に切り分ける。
- 長方形はそれぞれちょうど1つの数字を含み、その数字は長方形のマスの数と等しい。
- 長方形どうしは重ならず、どのマスも必ずどれか1つに入る。
覚えることはこれだけです。数独のように「候補の数字を全部メモする」必要もありません。考えるのは「この数字の長方形は、どこにどう置けるか」の一点だけです。
最初に手を付ける場所は決まっている
どこから手を付けるかで、体感の難しさが大きく変わります。狙うのは置き方の候補が少ない数字です。
候補が少ない数字の見つけ方
- 素数(5・7・11…):形が「1×5」と「5×1」しかない。いきなり細長い一本に決まりやすい。
- 盤のかど・辺ぎわの数字:外にはみ出せないぶん、置ける向きが減る。
- 2・3のような小さい数字:そもそも動ける範囲が狭い。
- 大きい数字(12・16…):面積が大きいので、盤の端や他の数字にぶつかりやすく、意外と候補が少ない。
逆に、盤の真ん中にある4や6のような数字は、形も置き場所も多くて後回しが正解です。ここを最初に睨んでも時間が溶けるだけです。
実例:入門1面目を、最後まで手筋1つで解く
アプリの入門ステージ1面目(5×5)です。実際にこの盤は、最初から最後まで「置き方が1通りしかない数字を置く」だけで解けます。
| 6 | 5 | |||
| 4 | 5 | |||
| 5 |
| 6 | 5 | |||
| 4 | 5 | |||
| 5 |
順番はこうです。
- 4列目の 5:5は素数なので「1×5」か「5×1」。横に寝かせるとその行にある他の数字を巻き込んでしまうので、縦一列に確定。
- 5列目の 5:同じ理由で縦一列に確定。
- 左下の 5:最初は「横一列」と「縦一列」の2通りありました。しかし4列目・5列目が埋まったので横には伸ばせず、縦一列に確定。
- 6:残った空きに収まる置き方は2×3の1通りだけ。
- 4:残りがちょうど2×2。
3手目が大事なところです。1手前まで2通りあったものが、他が決まったことで1通りに落ちる。シカクはこの連鎖でできています。
実際に使う手筋は5つだけ
アプリには、人間と同じ手順で解く「手筋ソルバー」を積んでいます。収録486問をこのソルバーで解かせ、どの手筋が何回発火したかを数えたのが次の表です。合計 10,651手。
| 手筋 | やっていること | 発火回数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1. 唯一候補 | その数字の置き方が1通りしか残っていない | 6,025 | 56.6% |
| 2. マス独占 | そのマスを覆える長方形が、盤面全体で1つしかない | 2,145 | 20.1% |
| 3. 数字独占 | そのマスを覆える候補が全部同じ数字のもの → その数字はそこを通る | 1,325 | 12.4% |
| 4. 共有マス | ある数字がどう置いても必ず通るマス → 他の数字はそこを使えない | 967 | 9.1% |
| 5. 行き止まり | その置き方をすると、どこかのマスが誰にも覆えなくなる → その置き方は不可 | 189 | 1.8% |
手筋1・2 ―「1通りしかない」を拾い続ける
全体の4分の3以上がこの2つです。やることは単純で、数字の側から見て置き方が1通りか、空きマスの側から見て覆える長方形が1つかを探すだけ。上の実例は全部これです。
手筋2は見落としやすいので意識して使ってください。「この隅の1マス、いったい誰が取るんだ?」と空きマス側から問うと、答えが1つしかない場所がよく見つかります。
手筋3・4 ―「通る/通れない」で削る
ここからは置くのではなく、可能性を消す手筋です。
手筋4(共有マス)が、人間がいちばん気持ちよく使えるものだと思います。たとえば「この 4 は縦にも横にも置けるけれど、どちらに置いてもこのマスは必ず通る」と分かったとします。すると他の数字はそのマスを使えません。まだ4の置き方は決まっていないのに、隣の数字の候補が減る。この「決まっていないのに情報が取れる」瞬間が、シカクのいちばん面白いところです。
アプリのヒントが答えではなく「なぜそこがそう決まるのか」という理由を返すようにしたのも、この感覚を持って帰ってほしいからです。
手筋5 ― 置いてみて、破綻を見つける
「この置き方をすると、盤のどこかにもう誰にも覆えないマスができてしまう」。だからその置き方は無い、と消す手筋です。発火は189回(1.8%)と少なく、難問の詰めでだけ出てくるのが数字にも表れています。
「使わなかった手筋」の話
正直に書いておきます。アプリのソルバーには「島の面積勘定」という手筋も実装してあります。盤が分断されたとき、「この空きの島は7マス。入る数字は4と3だけ。4+3=7でぴったり」と数え上げる、いかにも効きそうな手です。
ところが出荷486問+生成した問題を通しても、発火回数は0回でした。盤が島に分かれるのが終盤すぎて、その頃には他の手筋で全部決まっているからです。
実装してあるので害はありませんが、「効いている手筋」として数えるのは誤りです。実際に支えているのは上の5つ、とくに手筋1〜4です。手筋の解説記事は「あればあるほど良さそうに見える」ものですが、数えてみないと本当に出番があるかは分かりません。
あてずっぽうを強いる問題の見分け方
ここが、遊ぶ側にとって一番大事なところだと思います。途中で必ず詰まるのに、正解を見ると「そこは総当たりで決めるしかなかった」という問題は、実際に存在します。原因は2つです。
| 原因 | 何が起きるか | 気づき方 |
|---|---|---|
| 解が2通り以上ある | どちらに切っても成立してしまう。正解と違うと言われて理不尽に感じる | 盤の一部を入れ替えても矛盾が出ない |
| 論理では最後まで詰められない | 解は1つなのに、そこへ至る道が「仮定して矛盾を出す」しかない | 手が完全に止まり、当てずっぽうで置くと通ってしまう |
後者は背理法と呼ばれるもので、「仮にここをこう置いてみる → 進めると矛盾する → だから違う」という考え方です。理屈としては正しいのですが、紙の上で何手も先まで戻れる人でないと実行できません。これに頼らないと解けない問題は、難しいのではなく面倒なだけです。
私たちがやっていること
アプリ「シカクッキー」の収録486問は、出荷前に全問を機械で検証しています。①解が1通りしかないこと(厳密ソルバーで数える)、②手筋ソルバーだけで最後まで解け、その答えが正解と一致すること。
結果、背理法が必要になった問題は 0問。エンドレスモードで作られる新しい問題も、同じ検証を通ったものだけが出てきます。
難易度は「盤の大きさ」ではなく「必要な手筋」で決まる
シカクの難しさは盤の広さではありません。解くのに何番目の手筋まで必要かで決まります。収録486問の内訳は次のとおりです。
| 必要な手筋 | 問題数 | 体感 |
|---|---|---|
| 手筋1まで | 76問 | 1通りしかない数字を拾うだけ |
| 手筋2まで | 173問 | 空きマス側からも見る |
| 手筋3まで | 77問 | 「このマスは誰のものか」で削る |
| 手筋4まで | 62問 | 決まっていない数字から情報を取る |
| 手筋5まで | 98問 | 置いてみて破綻を見つける |
盤の大きさは5×5から14×14まであり、14×14でも手筋1だけで解ける問題は成立します。「広い=難しい」ではありません。逆に5×5でも、手筋4が必要な問題は初見だと止まります。
詰まったときの3つの戻り方
- 空きマスの側から見る。数字を睨んで止まったら、いちばん取り残されている空きマスを1つ選び「これを取れるのは誰か」と問い直す(手筋2)。
- 置き方が2通りの数字を探す。2通りしかない数字は、共通して通るマスがあることが多い。そこは他の数字が使えません(手筋4)。
- 盤の端に戻る。真ん中で詰まっているときは、たいてい端にまだ拾える確定が残っています。
それでも動かないときは、その問題の作りを疑っていいと思います。論理だけで解ける問題なら、必ずどこかに「1通りしかない」場所が残っています。
まとめ
- ルールは「数字ぶんのマスの長方形で、盤を全部切り分ける」の1つだけ。
- 手を付けるのは素数・端・小さい数字から。真ん中の4や6は後回し。
- 実際に使う手筋は5つ。うち76.7%は「1通りしかない」を拾うだけ(実測)。
- 止まったら空きマスの側から問い直す。
- あてずっぽうが要るのは、問題の作りの問題。良い問題は必ず論理だけで最後まで行ける。